2022 | 10.10 | MON
りんご畑を眺めるカフェ
ミズサキノート

〈the campus〉のある北上市の隣町で、「江刺りんご」の産地として知られる奥州市江刺地域。その土地で、カフェや家具製作、りんごの栽培、りんごを使った加工品の製造・販売などを行っているのが、ミズサキノートの及川健児さん・由希子さん夫妻です。

ミズサキノートをオープンする前は、宮城県仙台市で家具制作とグラフィックデザインを行うフリーランスとして活動していた健児さん。両親が高齢になったことをきっかけに、家族で2006年にUターンすると、「地元で暮らすなら、自分で楽しい場所をつくっていきたい」と店舗の立ち上げを考えたといいます。

「自分で何か始めようと考えたのは、家具制作の勉強で長野に行っていた経験が大きいです。長野には、よく農村の中にレストランやカフェがあって、どんな場所でもそこに住んでいる人たち次第で楽しい場所にできることをその景色から感じていました。そこで、実家に戻ってくることを決めた時に、自分で楽しい場所をつくっていこうとすぐに行動することができましたね」

当時この地域には、店が1軒もなかったので、周りの人にはすごく心配されたという。

「ずっと実家で暮らしていた祖母に相談したら『いいんじゃないか』と言ってもらえて。というのも、祖母が若い頃は、このお店からすぐ近くの川沿いに船着場があって、お店がたくさん並んでいたらしいんです。なので、その当時を知っている祖母は素直に応援してくれたんだと思います」

ミズサキノートをオープンしたのは、2010年。それから12年運営を続け、たくさんの人で賑わうお店に。取材に伺った時も、開店してすぐの時間だったにも関わらず、お客さんが絶え間なく訪れていました。

カフェの運営は、由希子さんが担当。スタッフとともに、ケーキやスコーンなどのお菓子、ドリンクなどを提供しています。自家製の江刺産りんごを使ったメニューが特徴で、りんごジュースやアップルパイが人気です。

「りんご畑が隣接しているのが一番のメリットなので、お店の窓からりんご畑が見えるような設計にしています。入り口からすぐのスペースにはりんごジュースやジャムなどの加工品や調味料などの販売を行っているので、物販を利用してくださる方もいますね」

また、カフェの隣には、健児さんが家具の制作を行う〈JP-STYLE〉の工房も。木製の家具を制作していて、現在は来年まで作業を予定しているミズサキノートのリニューアルに向けた制作を行っています。

「田舎じゃないとできないこと。農家だからできること。それらを魅力として持ってやることで、遠くから人が来てくれるような場所になるんじゃないかと思って。実際に県外からも訪れて来てくれる方がいるので、当初考えていたことが実現できつつあるのかなと思っています」

ミズサキノートは来春、菓子工房の増築と店舗のリニューアルを予定しているそうです。ぜひ〈the campus〉に来たときは、一緒に訪問しておいしいりんごでつくられるカフェメニューを味わってみてください。