ハンドメイドサウナ
〈the campus〉の敷地内には、事務所兼倉庫になっているプレハブ小屋がある。
近藤設備の最初の営業所となった建物であり、東日本大震災後の復興工事でも活躍したという代物だ。盛岡、釜石を経て、北上市の森の中へやってきた現在は、一角がサウナへと姿を変えている。
サウナは〈the campus〉の大工がゼロからつくり上げた。外装、内装、建具に木材がたっぷり使われているから、森林浴気分まで味わえる。最近はエストニア発の樽型サウナ(バレルサウナ)も話題だが、日本の職人ならではの技術を活かしたサウナルームもいい。
部屋に設置してあるフィンランド製のサウナストーブ「Narvi」は、小さいながらもしっかりロウリュが楽しめるつくりになっている。加熱されたサウナストーンに水をかければたちまち水蒸気が立ち込め、快適なサウナタイムを過ごせるはずだ。
ここ数年サウナブームだから、その健康効果だったり、入浴方法だったり、よく知られているだろう。血流が良くなって疲労が回復するとか、精神的にリラックスできるとか、美容にもいいとか。そして、サウナ→水風呂→外気浴の3セット、みたいな。
すっかりサウナーな人もいれば、初めてみようか迷っている人、もともとサウナが好きだったけどブームに乗りたくない人などなど、サウナに向けられる眼差しはさまざまあると思う。
それはさておき、なぜこれほどサウナが人気なのか不思議でもある。もっといえば、温泉を含めた入浴文化とでも言おうか、古い時代からそうしたものが根強く愛好されてきているように感じる。
別府の鉄輪温泉にある「鉄輪むし湯」がよく知られるように、温泉の蒸気や火山性の噴気を利用したサウナに似た蒸気浴は鎌倉時代から行われていたとかいないとか。現在の入浴行為は清潔に保つ、リラックス、温泉に関しては観光といった側面が大きいように思うが、かつては病の治療や信仰との結びつきも強かったという。
現在のサウナブームはもしかすると、そうした歴史文化と地続きのもので流行なんかじゃないのかもしれない。そんな考古学的妄想を膨らませて「整う」のもまたいいだろう。